従業員が仕事中や通勤中にケガをした場合、労災保険で治療することができます。健康保険では3割の自己負担額があるのに対し、労災保険は自己負担額がありません。つまり全額労災保険で負担してくれることになるので、従業員にとっては手厚い補償となっております。
上記のとおり、労災保険は従業員のみ加入できる保険であり、社長や役員が仕事中や通勤中にケガをしても労災保険で治療することはできません。
また、やっかいなことに健康保険を使って治療することもできないのです。
これは、健康保険が仕事以外のケガや病気に補償される制度であるからです。
つまり、社長や役員が仕事中にケガをした場合、その治療代は会社や自分の負担で支払わなければならないことになります。
労災保険や健康保険を利用しないで治療した場合は、自由診療となり病院が治療代を決めていいことになっているので、高額になることが予想されます。
「それじゃ、社長や役員が仕事中にケガをしたら、高額な治療費を支払わなければならないのか?」
そうですよね。なにか不公平な感じがしますよね。
そのように思われる社長や役員のために特別に加入できる労災保険があります。
中小企業の社長や役員のように、一般の労働者と同様に現場にでて働き、その業務の実態から労働者と同様に保護することがふさわしいと認められた場合は、特別に労災保険に加入することができます。
特別加入できる会社は中小企業に限られます。具体的には従業員数が下記表の人数以下の会社となります。
業種 | 従業員数 |
金融業 保険業 不動産業 小売業 |
50人以下 |
卸売業 サービス業 |
100人以下 |
上記以外の業種 | 300人以下 |
労災保険に特別加入するには、「労働保険事務組合」に加入する必要があります。
当事務所は、労働保険事務組合 「神奈川SR経営労務センター」の会員社会保険労務士ですので、神奈川・東京・山梨にある会社の事務委託をお受けすることができます。
事務組合加入後は、従業員の労働保険についても一緒に事務組合に加入することになります。
したがって今後の労働保険の事務手続きについても「SR経営労務センター」経由でお手続きをすることになります。
特別加入の手続きの費用については、
①保険料(給付基礎日額と業種により異なります。)
②事務組合会費(16,800円)
③当事務所手数料(36,000円)
※当事務所手数料には、
「社長・役員の特別加入手続き」及び「現状の労働保険を事務組合に委託する手続き」が含まれます。
その他各種届け出が必要な場合は、別途(新規適用など)
特別加入する際の保険料は、給付基礎日額と業種によって変わります。
給付基礎日額とは、労災保険の給付額と保険料を算定する基礎となるものです。
給付基礎日額は5,000円から20,000円の範囲で所得水準に見合った金額を選択して頂きます。
※給付基礎日額の変更は年度の途中で変更することはできません。
給付額はケガ等により休業したとき(障害に至ったとき・死亡したとき)に給付額の8割×国が定めた日数が支払われます。
(例)給付基礎日額10,000円で30日間休業した場合
10,000円×80%×27日(休業4日目以降)=216,000円
が休業補償として支給されます。
給付基礎日額は下記のとおりです。
給付基礎日額 | 保険料算定基礎額 |
月額保険料(約) 建設設備工事の場合 |
20,000円 | 7,300,000円 | 8,517円 |
18,000円 | 6,570,000円 | 7,665円 |
16,000円 | 5,840,000円 | 6,813円 |
14,000円 | 5,110,000円 | 5,962円 |
12,000円 | 4,380,000円 | 5,110円 |
10,000円 | 3,650,000円 | 4,258円 |
9,000円 | 3,285,000円 | 3,833円 |
8,000円 | 2,920,000円 | 3,407円 |
7,000円 | 2,555,000円 | 2,981円 |
6,000円 | 2,190,000円 | 2,555円 |
5,000円 | 1,825,000円 | 2,129円 |
給付基礎日額:10,000円 業種:建設設備工事・・・保険料率 14/1000
①(保険料算定基礎額)3,650,000円×(保険料率)14/1000=51,100円
②事務組合会費=16,800円
③当事務所手数料=36,000円
①+②+③=103,900円